地域での活動紹介

熊本地震3日目に被災地へ

本震発生後熊本入りを考えていましたが、ことのほか現地では混乱しており、水や食料などを車に積み込み自己完結型で現地入りし、12日間車中泊をしながら避難所の様子や要援護者の避難の様子を追いかけてきました。
発災後、多くの住民が近くの学校や公共施設に避難しものの、入りきれずあふれた多数の人が周辺の公園や、車の中でコンビニやスーパーの駐車場等で夜を明かました。昔から熊本では大きな地震など少なく、大型工場誘致にも地震が少ないとアピールしていた程で、突然の熊本での地震の経緯について簡単にまとめてみました。

●自治体の受援体制
地元自治体職員も被災者である中、発災直後より九州県知事会や政令指定都市市長会、関西広域連合、国土交通省等の職員が次々に現地入りし、地元自治体と連携を取りながら復旧活動を行っていた。
(国交省テックフォース 指令バス 工作機械トラック)
◇吹田では、外部からの人材派遣に対しどう受け入れるのか、応急危険度判定や建物被害認定調査等、被災後どのような業務が発生し、どう任せられるのか等、受援体制について更に検討が必要と思っています。

●物流・備蓄
食料・日用品などの物資については個人の備蓄が少なかったようで、発災後24時間以内にパン1枚という避難所や、校庭にSОSを描いた避難所などがあり、乾パン等の備蓄品の到着はかなり遅れていた。
その後も食料や水などの物流がスムーズに行かず、72時間が経過してやっと物資が廻り始めました。熊本地震の問題点は個人の備蓄量や、食料等の物流の初動のまずさが問われていた。
国はプッシュ型物資輸送を実施、日本通運やヤマト運輸が被災地周辺(福岡県)を拠点に被災地の拠点に投入したが、最後のワンマイルが思うようにいかなかったのが今後の課題。パレットに積まず、ベタ積みの貨物は効率が悪い。
◇吹田市の食料などの備蓄品は発災後どのようなスケジュールで避難所に届けられるのか、また、備蓄数の算定基準である想定被災者数は適切なのかどうか、72時間までに必要な食料・日用品は、避難所かその近くに保管すべきではないか、72時間以降の食料・日用品についての受入れ・発送の拠点についてはどうなのか。

●通信インフラ
行政情報や、生活情報については新聞、ラジオ、テレビのエル字情報で得る事ができてた。しかし避難所ではテレビはない、ラジオも持っている人が少ない、新聞は多くの部数は届かない状況で、携帯電話でのインターネット情報が唯一の情報源だった。熊本市や、益城町では災害FMが立ちあがり、給水場所やごみ収集、医療情報など生活密着の情報を流していた。(スマホ ラジオアプリ ワンセグ)
◇吹田市でもコミュニティFMがあるが、地震発災により放送機器や送信アンテナが損壊すれば、地域密着の情報が伝わらなくなる。外国人も含めた市民に対し、行政情報の伝達について多彩な方法を講じなければならない。そのためにはWIFIの確保が不可欠である。

●車中泊・テント泊
多くの方が車の中で寝泊まりしており、従来の屋内体育館ではプライバシーがなかなか保たれず、特に小さなお子さんやペットを飼っておられる方が車中泊に多く見受けられたというのは必然の事か。
多くの人が体育館という同じ場所で生活をするにはルールが必要になり、若い世代にはなかなかなじめないという現実もあるようだ。大型展示場グランメッセ熊本では2千2百台収容の駐車場が満車になり、約6千人が夜を明かしたそうだ。
◇吹田市でも小中学校の運動場、千里北公園や南公園、総合グランド、万博記念公園など車中泊が可能な場所はたくさんあるが、新しい避難形態の車中泊について、防災計画に入れるべきではないか。
万博記念公園の駐車場は吹田市に所在があり、大阪府の所有で、吹田市民以外、豊中、茨木、箕面、摂津等多数の市民が押し寄せて来るものと思われるが、指定避難所として広域での対応が必要ではないか。(道路不通による駐車も)

●トイレと感染症
簡易トイレは詰まることが多く、また和式も多かったので不評が多かった。断水のため消毒液アルコールが必須アイテムで、すぐに必要な備蓄品である。
◇吹田市はほぼ100%の下水道普及率なので市役所にはバキュームカーがない。災害時のトイレは在宅避難、車中泊など、避難所以外でも使用できるよう整備が必要である。公園内のマンホールトイレは有効ではないか。

●ボランティアの確保・受け入れ体制
熊本での避難所運営には大人だけではなく、多くの中学生、高校生、大学生も参加していました。
熊本大学では学内体育館に周辺から大勢の住民が避難してきたが、大学では学生自らがサポートに回り活動していました。熊本学園大学でも5500人にボランティア協力のメールに対し300人が応じたそうだ。
本震後、長い間余震が続いたため全国からのボランティアは制限されていたが、宿泊の必要のない地元ボランティアは有効に作用していた。連休に入りボランティアが増えると割り振りがうまくゆかず混乱も見られた。
◇吹田市でも防災意識を高めるためには小学校高学年や中学生、高校生に対してHUG(避難所運営ゲーム)やDIGをするなど具体的な訓練をやれば彼らなりに防災について関心を持ってくれるのでは。
特に福祉施設では全国からの支援に対し、受援体制が必要となってくるのでは。

●福祉避難所
被災した障害者を支援する「被災地障害者センターくまもと」が4月20日に発足している。熊本県内の障害者関係約20団体が連携。会長には倉田哲也・くまもと障害者労働センター代表が、事務局長には弁護士の東俊裕・熊本学園大教授が就任していた。
センターは、関係団体を通じて被災状況を調査するほか、避難所などで支援ニーズを掘り起こしたり、支援ボランティアの派遣など生活再建をサポートする。支援物資や寄付金の募集と配分も行う。
「さまざまな団体と連携し、当事者にとって足りないところを支援していきたい」と話している・・・
施設が被災し建物の損壊、職員も被災。とりあえず一般避難所へ。しかし、居られずにすぐに自宅へ戻る。探す方も探される方も、安否確認が決してうまくいってなかった。
避難所でも徘徊発生。福祉避難所が一般避難所になってしまって・・・。
◇吹田市でも福祉避難所の開設や運営について、関係団体との会議や運営訓練もされているが、要援護者本人がどこの避難所に行けばよいのか、という本人の認識があるのかなと懸念する。熊本では本来行くべき福祉避難所の存在すら知らなかったという事例もある。 医療の必要な人、介助の必要な人、多動性の子どもなど、受入れ体制の整理をしながら要援護者の避難場所を明確にすべきではないか・・個別計画も含めて。

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地域での活動紹介リンク

  • 災害時での要配慮者への支援
  • 熊本地震
  • 東日本大震災 1ヵ月後に被災地へ
  • 自然環境および生物多様性の保全
  • ピアノ池の環境保全活動
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